マウンテンハードウェアのテントは高所登山からアウトドアキャンピングまで、様々な用途にお使いいただける製品をラインナップしています。製品を快適にご使用いただくためにも、ご使用前にこのオーナーズマニュアルをお読みください。また、製品を実際にフィールドで使用する前に、本体・付属品を確認し、試し張りをしてみてください。
テントサイトの選び方
テントを張る場所は平坦でとがった石などがなく、風があたらず、水はけが良い場所が理想的です。テントを南または東向きに張ると温かい朝日を受けることが出来ます。木の下や水はけの悪い場所、稜線上は避けてください。マウンテンハードウェアのテントはほとんどが自立式ですが、風で飛ばされないように必ずペグで固定してください。また、テント本体から伸びている張綱をペグで固定し、張綱が緩みなく張れているようにしてください。
フットプリント
マウンテンハードウェアのテントには別売りの専用フットプリントを敷いてテントフロアを保護することをお奨めします。フットプリントは各テントのフロアの形状に合わせてデザインされています。フットプリントを敷くことで地面から突き出ている木の枝、小石、樹液などからフロアを守ることが出来ます。フットプリントはマウンテンハードウェア製品取り扱い店でご購入ください。
フィールドでのテントの取り扱い方 ~テントを強風から守るために~
オールマウンテンテント
テントの要所から出ている張綱には、3つの穴の開いたテンショナー(自在)が着いています(図1A)。この自在を移動させて張綱のテンションを調整してください(図1B)。
スーパーライトテント
張綱は直径2~5mmのものを使用してください。
- 1. 図2Aのように、張綱をコードストッパーに通してください。末端を結んで引っ張ると張綱とコードストッパーは図2Bの状態になります。
- 2. 張綱とテンションを強めるには図2Cのようにコードストッパーを上に引いてください。
- 3. テンションを弱めるには図2Dのように2本のコードを両側に引っ張ってください。
エクスペディションテント ガイ・アウトコード
エクスペディションシリーズのテントにはフライ外側にガイアウトループと呼ばれる、ウェビングループが縫い付けられ、内側にはプラスチック製のクリップが取り付けられています(図3)。テント設営時にこのクリップをポールに引っかけ、ガイアウトループに張綱を結びつけてペグダウンして下さい。張綱はペグ、岩、スノーアンカーなどテントを支えられるしっかりしたものに結び付けてください。
インターナルガイシステム
テント内部の壁面と天井に設けられたウェビングループに張綱を通して、コードストッパーでテンションを与えることにより、テントの剛性を高め、耐風性を高めることができます。長さ245cmの2本の張綱があたかも1本の張綱のようになってテント内部から支えます。
テント内部のコーナー(図4A)に張綱を結び、B、C、Dの順にウェビングループに張綱を通していき、コーナーEでコードストッパーに結び付けてください(図1A)。
もう1本の張綱はコーナーFに結びつけ、前と同じ手順でG、H、Jの順に通し、コーナーKでコードストッパーに結びつけてください(図4B)。
紫外線
紫外線はテントの生地を劣化させます。紫外線により生地は退色し、強度が低下し、最終的にはばらばらに崩壊してしまいます。紫外線によりテントの劣化具合 は、紫外線にさらされた時間と紫外線の量(高度)によります。高所に1日中テントを張るような使い方をした場合、1ヵ月以内で劣化し使用の限度を超えてし まいます。テントを長持ちさせるためにはなるべく直射日光の当たらない場所に張り、朝には撤収し、夕方設営するという使い方が重要です。
食料の保管
テントの中に食料を保管すると動物がテント生地を破って侵入しますので絶対に避けてください。
テントポールの扱い方
ポールを組み立てるときは1セクションずつ丁寧に組み立ててください。決してショックコードの弾力でポールどうしがぶつかり合うような組み立て方はしないでください。ポールを湾曲させる前に、セクションどうしがしっかり差し込まれていることを確認してください(図5)。差し込みが不十分だと破損の原因になります。ポールに泥や砂が詰まったり塩水にさらされたりしないように注意して取り扱ってください。特に先端のチップはアノダイズ(酸化処理)加工がされていませんので錆びやすい性質があります。ポールをたたむ時は中央のセクションから半分ずつたたんでください。内部のショックコードのテンションを均一に保つことができ、特に長期間保管する時に重要です。
マウンテンハードウェアのテントポールはアノダイズ処理がほどこされていますので防錆剤の必要はありませんが、海の近くなど、塩分にさらされる場所に長期間設営した場合は、ポールを水洗いして乾燥させた後、塩水に効果のある防錆スプレー等を塗布してください。
フィールドリペア
ポール
ポールが折れた場合はアルミ製リペアスリーブで応急処置をすることができます。折れた部分をリペアスリーブでつなぎ、上からテープで巻いて固定してください(図6)。
ジッパー
ジッパーを長持ちさせる上で重要なことは、砂や小石がスライダーやジッパーコイルに侵入しないようにすることです。埃っぽい場所に設営する時はジッパーの 扱いに注意し、使用後は自宅でジッパーに水をかけて洗い流してください。ジッパー故障の最大の原因はスライダー内部のコーティングがはがれたことに起因し ます。コーティングが剥がれるとスライダーが磨耗し、ジッパーコイルを噛み合わせることができなくなり、スライダーを閉めてもその後ろでコイルは開いてしまいます。
引き裂け、その他のダメージ
生地に小さな穴が開いたり、引き裂けたりした場合は、縫ったり、リペアテープを貼ったり、シームグリップのような液状ウレタンを縫塗って応急処置をしてください。
自宅でのテントのお手入れ
テントを保管する時は汚れた場所、湿気のある場所を避けてください。カビが生え生地の防水コーティングを劣化させます。カビが生えるとテントから臭いが発生し、最終的にはコーティングが剥がれ水漏れが発生します。いったんカビが生えた生地は修復できません。濡れたままテントをたたんで数日以上放置すると、 ウレタンコーティングが加水分解を起こし、コーティング面が軟化して生地どうしが張り付くようになり、コーティングが剥がれ出します。カビと加水分解によるダメージは品質保証の対象とはなりません。
テント本体のシームシーリング
雨の多い場所や濡れた場所に設営することが多い場合はテントフロア周囲(サイドウォールとの合わせ目)の縫い目にシームシールをしてください。逆にテント 本体のドア部やジッパーにはシームシールをしないでください。テントを換気の良い場所(直射日光の当たらない屋外が最適)にペグを打って設営してください。テントが綺麗で乾燥し、生地がぴんと張っていることを確認して下さい。シームシーリングは気温が低く、湿気が多い時には行わないでください。シーム シーラントはテントのコーティング面にのみ塗ってください。コーティングされていない面は撥水処理されているためシーラントが付着しにくくなっています。 シーラントは1度に厚く塗るよりも薄く複数回に分けて塗ってください。フロア周囲の縫い目全体に沿って、ブラシを前後に動かし圧力を加えながら塗ってください。乾燥のさせ方はシーラントの取り扱い説明書に従ってください。
テントフライのシームシーリング
フライシートは製造時にホットテープでシームシールされていますので、ほとんどの天候下ではシームシールの必要はありません。しかし長期間雨にさらされる 場所や濡れた場所に設営する場合は、テントフライ内側の要所にシームシールすることをお奨めします。フライのコーティング面(つやのある側)を表にした状態でテントを設営し、ウェビングやベルクロが取り付けられている全ての縫い目にシームシールをして下さい。取り付け部分の縫い目の周囲や内部にテント本体と同じ要領でシーラントを塗ってください。乾燥のさせ方はシーラントの取扱説明書に従ってください。
テントの洗い方
テントを洗濯機で洗ったり乾燥機に入れたりしないでください。
テントを洗う場合は、出来るだけテントを張った状態で汚れた部分のみをぬるま湯でぬらしたスポンジで洗ってください。汚れがひどい場合は中性洗剤で拭いた後、きちんと洗剤をふき取り乾拭きしてください。熱湯、漂白剤、食器洗い用洗剤、付け置き洗剤、リムーバーなどは使用しないでください。洗ったテントは出来るだけテントを張った状態で直射日光の当たらない場所で乾かすか、つり干しして乾燥させてください。決して乾燥機にはかけないでください。
保管の仕方
テントは涼しくて乾燥した場所に保管してください。テントとフライはゆるめにたたみ、もし可能ならばショックコード付きのポールは完全にあるいは部分的に組み立てた状態で保管してください。
テントの重量とは
テントの重量は購入の際の重要な基準となります。以前はメーカーにより何を含めた重量を表示するかまちまちでした。これでは異なるメーカーの重量を正確には比較できません。マウンテンハードウェアではミニマムウェイト※(最小重量)を表示しています。
※ミニマムウェイトとは、テント本体、フライ、ポールのみ合わせた重量です。テントの最低限の重量を表しますので重量を比較する際の基準となります。収納袋・ペグ・張り綱・テンショナー(自在金具)といったものはこの重量には含まれません。
ローインパクト(環境に優しい)キャンピング
テントはキャンプ指定地に張りましょう。沢や湖のすぐそばではキャンプをしないでください。沢や湖からは60m以上離れてキャンプする必要があります。石鹸は自然分解する成分の物を使いましょう。「後には何も残さない」キャンピングを心がけてください。
テントアクセサリー
マウンテンハードウェアには下記のテントアクセサリーがあります。
これらのアクセサリーはマウンテンハードウェアテント取扱店にてご購入ください。
アルミニウムYペグ
7075 T6アルミ合金製でY字型の断面形状をした強度の高いペグです。
ユーナンチューブラテントステイク
アルミチューブを採用した超軽量ペグです。
Xステイク
X字型の断面形状をした強度が高く支持力を向上させたペグ。センターの穴を利用してアンカーとしても使えます。
スノー&サンドアンカー
雪上や砂地などペグが効かない場所で張り綱をしっかり張るためのアンカー。
テントフットプリント
各テントのフロア形状に合わせてカッティングされた専用グラウンドシート。テントの床面を汚れや突起物から保護します。
ギアロフト
テント内の天井部に取り付けるメッシュ製の小物入れ。
警告!(必ずお読み下さい。)
- 火気について
- マウンテンハードウェア社のテントは遅燃性の生地で作られていますが、ナイロンとポリエステルは高熱や炎にさらされた場合、溶解または燃焼します。決して たき火やストーブ、かまどなどの近くにテントを張らないでください。キャンプファイヤーをする場合は炎の風上にテントを張ってください。火の粉がテント生地に飛んで穴が開くことを防ぐことができます。テント内でろうそくを照明として使用しないでください。火災の原因となります。
- テント内およびテント前・室内でガソリンやガスストーブを用いての調理、ガソリンやガスランタンの使用はしないでください。また、ストーブやランタンの故障や操作ミスによりテント内で出火した場合、脱出が間に合わないくらい短時間に火災が広がり大変危険です。灯油などを燃料とするストーブも二酸化炭素の量が増えますので使用しないでください。
- 排気について
- テント設営中は定期的にベンチレーターやウィンドウ、出入り口を開けて換気してください。二酸化炭素と一酸化炭素の濃度が危険レベルまで上がる恐れがあります。テントを閉め切った状態にせず、ウィンドウを少し空けた状態にしてください。
- キャンプサイトの選び方
- 落石、大きな木の枝が落ちそうな場所、落雷、強風、雪崩、増水の恐れのある場所にはテントを張らないでください。テントはしっかりペグダウンしてください。テントと張り綱は支持強度の十分なペグで地面に固定してください。厳しい天候下ではインターナル・ガイ・システム(4シーズンテントに装備)を使用してテントの剛性を高めてください。状況によっては標準装備以上のペグや張り綱が必要になることがありますので、ご使用の状況に合わせて追加ご購入ください。